「『あの一行』を、どう映像にするのか?」
ミステリー小説家として著名でもある綾辻行人さんの金字塔、『十角館の殺人』を紹介します。あまりミステリーを知らない人でもタイトルだけは知っている人もいるのではという本格的クローズドサークルのミステリーです。
ミステリーの流れ上「実写化なんて無理だ」とされていた、あまりにも有名なトリック。しかし、Hその「不可能性」を見事に打ち破り映像化してくれました。
孤島に集まった大学生たちが次々と殺されていく。古典的でありながら、結末を知った瞬間に世界が反転する。あの「衝撃」の正体を紐解きます。
あらすじ:死の島に集まった、7人の探偵
今回舞台となるのは角島(つのじま)。かつて建築家・中村青司が設計した「十角館」で凄惨な焼死事件が起きたその島に、大学のミステリー研究会のメンバー7人が合流します。 彼らは互いを「エラリイ」「アガサ」「ポアロ」といった名探偵の名前で呼び合い、合宿を始めます。合宿のさなか、一人、そして一人と合宿メンバーが殺されていきます。
一方、本土では元メンバーの江南(かわなみ)のもとに、死んだはずの中村青司から手紙が届き、彼は独自に事件を調査し始めます。島と本土。二つの物語が交錯した交わったとき、誰もが予想しなかった「あの一瞬」が訪れます。
ここが凄い!:不可能を可能にした3つの驚愕
① 「あの1行」を視覚化した、緻密な演出の妙
原作読者が最も危惧していた「映像で見せたら一発でバレる」という物理的な壁。本作は、カメラワーク、衣装、そして何よりも「配役の絶妙な配置」によって、その壁を鮮やかに飛び越えました。結末を知っているはずの既読者でさえ「あ、そう来るのか!」と膝を打つ、映像メディアならではの挑戦的なトリックは必見です。
② 80年代後半の「ミステリー」を完璧に再現
あえて現代設定に書き換えず、スマホもネットもない1980年代を舞台にしたしています。そのため、劇中ではタイプライター、煙草などが登場します。当時の雰囲気を完璧に再現したことで、クローズド・サークル特有の「逃げ場のない閉塞感」がより一層際立っています。
③ 俳優陣が魅せる、ミステリアスな「静」と「動」
名探偵の名を冠した若手俳優たちの瑞々しい演技と、本土側で事件を追う島田潔(青木崇高)のどこか飄々としたキャラクターの対比が見事です。特に後半、すべての歯車が噛み合い、真実が白日の下にさらされる瞬間の「表情」の変化。そこには、推理小説を読み終えたときのような、冷たくも心地よいカタルシスが宿っています。
著者の正直な感想(レビュー)
この作品がドラマ化するのを知り、小説を読んでいた身としては、どうやってこの文章だからこそ表せるミステリーを映像化するのだろうかと疑問視していました。しかし、観終えた瞬間にうまくその課題を取り除いていたなと思いました。逆に小説の前情報なしなら最後までそのトリックに気付かなかったかもしれません。
物語の核心に触れる「あの一瞬」が訪れたとき、くるぞくるぞと衝撃に備えておりました(笑)
視覚情報が嘘をつく。自分の「目」がどれほど主観に支配されていたかを突きつけられる感覚。それは、文字で読むのとはまた違う、映像だからこそ味わえる「脳がバグる」体験でした。
真相が明かされた後、もう一度その正体を最初から見返さずにはいられな「伏線」の美しさにミステリーの良さを見出せる作品になっています。
現代にはない古典的ですが芸術的なミステリーの良さをみんなにも味わってもらいたいです!
ちなみにHuluでの配信になっています!小説のほうもおススメです!
まとめ:こんな人におすすめ!
- 「映像化不可能」という言葉に挑戦したい人
- 物語のラスト一分で、すべてをひっくり返されたい人
- 本格ミステリーの様式美と、ゾクッとする快感を味わいたい人
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