導入
「親は、子供のために何ができるだろうか。」
幸せの絶頂から一転、不慮の事故で愛する妻を亡くし、男手一つで息子を育てることになった父。 今回ご紹介するのは、日本中の涙を誘ったベストセラー小説の映画化作品『とんび』です。
主演の阿部寛さんが見せる、豪快で、破天荒で、でも誰よりも繊細な「昭和の親父」の姿に、今の時代だからこそ失われつつある温かさを感じずにはいられません。
あらすじ:不器用な父と、真っ直ぐな息子の物語
舞台は昭和37年、広島県備後市。 運送業者で働くヤス(阿部寛)は、愛する妻・美佐子(麻生久美子)との間に息子・アキラが誕生し、人生最高の幸せの中にいました。
しかし、その幸せは突然の事故によって崩れ去ります。 幼いアキラを遺して、美佐子が帰らぬ人となってしまったのです。
絶望に打ちひしがれるヤスでしたが、町の人々に支えられながら、「母がいないことを息子のせいにさせない」と心に誓います。時にぶつかり、時にすれ違いながら、不器用な父と息子が歩んだ道のりが描かれます。
ここが凄い!3つの見どころポイント
① 阿部寛が演じる「理想を超えた父親像」
阿部寛さん演じるヤスは、お節介で喧嘩っ早く、お世辞にも「スマートな父親」ではありません。しかし、その無骨な背中から溢れ出す息子への深い愛は、観ている者の心を震わせます。阿部さんの喜怒哀楽豊かな演技が、物語に圧倒的な生命力を与えています。
② 脇を固める「町の人々」というもう一つの家族
この映画の魅力は親子だけではありません。薬師丸ひろ子さん、安田顕さんらが演じる近所の人々が、まるで自分のことのようにアキラを慈しみ、ヤスを叱咤激励します。「地域全体で子供を育てる」という昭和の古き良きコミュニティの姿に、現代人が忘れかけた絆を見ることができます。
③ 涙を誘う「雪のシーン」と「とんび」の意味
タイトル『とんび』には、平凡な父(とんび)が優秀な息子(鷹)を生んだ、という意味が込められています。物語の節目節目に登場する美しい景色や、父が息子に隠し続けた「嘘」が明かされるシーンは、涙なしでは観られません。
筆者の正直な感想(レビュー)
この映画は、単なる「お涙頂戴」の物語ではありませんでした。 スクリーンいっぱいに広がる瀬戸内海の夕景や、昭和の活気ある街並み……その美しい映像美が、ヤスの荒々しくも温かい人生をより際立たせています。
特に印象的だったのは、成長したアキラを演じる北村匠海さんの「受け」の演技です。阿部寛さん演じる、熱すぎて時に煙たい父親を、呆れながらも深い尊敬の念で見つめるその眼差し。この二人の間に流れる空気感があまりに自然で、本当の親子を見守っているような錯覚に陥りました。
ヤスの不器用だけど精一杯の愛情に胸が締め付けられました。 親になってから観ると「ヤスの気持ち」に、子として観ると「アキラの感謝」に。観る人の立場によって、流れる涙の色が変わる。そんな、一生寄り添ってくれるような深い包容力を持った名作です。
まとめ:こんな人におすすめ!
映画『とんび』は、すべての人に観てほしい「心のサプリメント」のような作品です。
- 最近、家族に「ありがとう」と言えていない人
- 昭和の懐かしくも温かい雰囲気に浸りたい人
- 思いっきり泣いて、心をデトックスしたい人
観終わった後、きっと大切な人に連絡したくなるはずです。阿部寛さんが体現する「日本一不器用な愛」を、ぜひその目で確かめてください。



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