「あなたは、最悪のラストを期待する。」
今作は観る者の倫理観をズタズタに切り裂くサイコスリラー『ミュージアム』。 雨の日にだけ発生する猟奇殺人事件。犯人はカエルのマスクを被った通称「カエル男」。彼は自らをアーティストと称し、被害者にふさわしい「刑」を執行して遺体をディスプレイします。 追う側の刑事が、いつの間にか追われる側の「作品」へと変えられていく。そのノンストップの恐怖と、逃げ場のない雨の質感が、狂気の世界へ引きずり込みます。
あらすじ:カエル男の「芸術」と、壊れゆく刑事
警視庁捜査一課の沢村久志(小栗旬)は、仕事に没頭するあまり家族を顧みず、妻と息子に出て行かれてしまいます。そんな中、世間を震撼させる連続殺人事件が発生。 「ドッグフードの刑」「母の痛みを知りましょうの刑」……。 残虐極まりない手口で殺害された被害者たちの共通点を追う沢村でしたが、やがて次のターゲットが自分の妻子であることを知ります。
カエル男の目的は、沢村を極限まで追い詰め、最高の「表現」を完成させること。 家族を救うため、雨の中を疾走する沢村。しかし、カエル男の仕掛けた罠は、沢村の精神を確実に、そして無残に破壊していくのでした。
ここが凄い!:絶望を加速させる3つの「毒」※ちなみに雨蛙にも毒があるそうだ!
① 史上最も不気味な「カエル男」
正体を隠した殺人鬼を演じた???さん(見てのお楽しみ)の演技が凄まじいです。特殊メイクで容姿を変え、独特の呼吸音と軽やかなステップで殺人を「演出」する姿は、これまでの爽やかなイメージを完全に払拭しました。カエル男にとって殺人は単なる行為ではなく、至高の「ミュージアム(美術館)」を作り上げるための聖なる儀式。その歪んだ美学に寒気が止まりません。
② 小栗旬が魅せる、限界突破の「精神崩壊」
肉体的にも精神的にもボロボロになっていく沢村。小栗旬さんの、血と泥にまみれ、理性を失っていく狂乱の演技は圧巻です。特に、カエル男から「究極の選択」を迫られるシーンでの絶望的な表情は、観客の心に深い爪痕を残します。
③ 「雨」という演出が醸し出す、拭えない不快感と恐怖
映画全編を通して降り続く雨。それがカエル男の犯行条件であると同時に、物語全体のジメジメとした、出口のない閉塞感を象徴しています。大友啓史監督(『るろうに剣心』等)らしい重厚な映像美が、残酷な描写をより一層鮮明に、そして逃れられない現実として突きつけてきます。
筆者の正直な感想(レビュー)
土砂降りの雨の音が、それまでとは全く違う不気味な音に聞こえるような作品です。
ミステリーとしての面白さはもちろんありますが、それ以上にこの作品が描いているのは「人間の精神がいかに脆く、簡単に壊れてしまうか」という残酷な実験結果です。 カエル男は、物理的な痛みよりも「心の痛み」を突く天才です。沢村が家族に対して抱いていた小さな後ろめたさ、後悔。それらを丁寧に拾い上げ、最悪の形に加工して突き返す。そのプロセスを「鑑賞」するカエル男の視点は、そのままスクリーンを見つめる私たちの視点と重なり、自分自身の中にある「残酷な好奇心」を自覚させられるようで、非常に居心地が悪くなりました。
※上記赤字のたとえうまくないか?と自己陶酔に至る。ミュージアムなだけに(笑)
特にラストシーン。あの静かな、しかし決定的な「終わりの始まり」を感じさせる演出には不快感を抱く人もいると思います。
救いはあったのか、それともこれこそがカエル男の望んだ完成形だったのか。 「正義」が「狂気」に飲み込まれていく瞬間を、ここまで美しく、容赦なく描き切った作品は他にありません。鑑賞後も長く残る、冷たい雨に打たれ続けるような不快な余韻こそが、この映画の最大の魅力なのだと感じました。
うん、、、少し後味悪い系ですね!
まとめ:こんな人におすすめ!
- 後味の悪さがクセになるサイコスリラーが好きな人
- 小栗旬とカエル男の、魂を削り合う演技バトルを観たい人
- 「雨の日の恐怖」を、これでもかというほど体験したい人
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